自動車免許を取得したいと思っている方で、AT(オートマ)かMT(マニュアル)か、どちらを取ればいいか迷っている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、ATとMTの違いから、それぞれのメリット・デメリット、おすすめな人、後悔しない選び方のポイントまで、詳しく解説していきます。
そもそもAT車とMT車はどう違うの?
AT(オートマチック・トランスミッション)とMT(マニュアル・トランスミッション)の違いは、「ギアチェンジ」の仕方によります。
AT車では、アクセルとブレーキの操作(右足で踏む)だけで、自動でギアチェンジが行われますが、MTでは、アクセルとブレーキのほかに、クラッチペダルとシフトレバーを操作する必要があります。
MT車のシフトレバーは、通常5速または6速あり、速度を上げるにつれて、1速から5速・6速へと順々にギアを上げていき、減速する時には、だんだん下げていくという操作が必要です。
操作の度に、左足でクラッチペダルを踏み、左手でシフトレバーを動かす必要があります。
一方、AT車は、シフトレバーを通常走行の際は「Ⅾ(ドライブ)」に入れておくだけで、自動でギアチェンジするため、両手はハンドル操作のみ、足は右足の操作のみで運転することが可能です。
つまり、AT車の方が操作が簡単で、MT車の方が複雑で難しいと言えます。
AT限定免許のメリット・デメリット
AT限定免許のメリット・デメリットは、以下の通りです。
AT限定免許のメリット
AT限定免許のメリットは、MT免許に比べて難易度が低く教習時間も3時間短いため、取得しやすいことです。
費用もMT免許と比べて2万円ほど安く済みます。
現在は乗用車の新車販売のほとんどがAT車となっており、運転する機会や購入する際の選択肢が多いのもAT限定免許のメリットと言えるでしょう。
また、トラックやバスなどの大型車、中型車にもAT車が普及し、一部の職場ではAT限定免許でも不自由なく業務にあたることができるようになっています。
以下の車種は、昨今の職業ドライバー不足を踏まえ、AT限定免許が導入されることになりました。
車種 | 施行期日 |
---|---|
中型・準中型・中型第二種免許 | 2026年4月1日 |
大型免許 | 2027年4月1日 |
大型第二種免許 | 2027年10月1日 |
※警察庁「AT大型免許の導入及びMT免許の技能試験等の方法の見直しについて(概要)」
大型車、中型車のMT・ATの普及率に関する詳しいデータは存在しませんが、ATの普及率がMTを超える業種や地域もあるようです。
このように、現在は普通自動車だけではなく、一部の大型車や中型車も運転できるようになっているため、MT車を運転できる方が有利ではあるものの、「AT車しか運転できないから採用されない」ということは少なくなりつつあります。
AT限定免許のデメリット
AT限定免許のデメリットはMT車を運転できないことです。
農業用トラック、スポーツカー、クラシックカー、欧州や一部地域のレンタカーなどはMT車が主流になっているため、運転することができません。
後からMTに乗りたくなった場合には、限定解除に費用と時間がかかります。
MT免許のメリット・デメリット
MT免許のメリット・デメリットは、以下の通りです。
MT免許のメリット
MT免許の免許のメリットは、AT車を含め、運転できる車種が格段に多くなること、自分の意思で車を操る面白さを味わえることです。
スポーツカーや大型車、クラシックカー、欧州など一部地域のレンタカーなどはMT車が多いため、AT限定免許に比べて多くの車種を運転できます。
クラッチペダルとシフトレバーで自由に車を操る楽しさは、車好きには必須でしょう。
MT免許のデメリット
MT免許のデメリットは、AT限定免許より教習時間が3時間長く、費用も2万円ほど高いことです。
また、クラッチペダルやシフトレバーの操作が複雑で難しいため、免許を取得する難易度が上がります。
AT車にはない、「エンスト」(エンジンが止まる)」という現象があり、慣れないと交差点の真ん中で立ち往生することもあります。
エンストは直接的なダメージは少ないものの、慌てて再発進する際の誤操作や変速ミスが負担になることがあるため、慣れるまでは慎重な運転が必要です。
AT限定免許・MT免許、取るならどっち?
AT限定免許とMT免許で、それぞれ取得するのにおすすめな人は、以下の通りです。
AT限定免許がおすすめな人
AT限定免許がおすすめな人は、以下のような方です。
- 運転に自信のない方
- 操作が楽な方が良いと思う方
- 都市部(市街地)での運転が多い方
- 教習の期間や費用を抑えたい方
通勤や買い物、ドライブなどの日常使いのみで、今後もMT車に乗る予定がない方はAT限定免許を取得するのがおすすめです。
MT免許がおすすめな人
MT免許がおすすめな人は、以下のような方です。
- 車が好きで、車を自分でコントロールする面白さを味わいたい方
- スポーツカーやクラシックカーなど特殊な車種を運転したい方
- スピードや走行感を体感したい方
- 軽トラックや大型車、特殊車両など仕事で使う方
車好きな方、将来MTの軽トラックや大型車、中型車、特殊車両などを運転する可能性がある方は、MT免許を取得するのがおすすめです。
AT限定免許・MT免許の後悔しない選び方のポイント
AT限定免許とMT免許どちらにするか、後悔しない選び方のポイントは以下の通りです。
- 自分の運転したい車をイメージする
- 将来どんな仕事をしたいかをイメージする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ポイント1:自分の運転したい車をイメージする
まず、自分が運転したい車をイメージしてみましょう。
軽自動車、コンパクトカー、SUV、ミニバンなどの国産車なら、AT限定免許で十分です。
しかし、本格的なスポーツカーやクラシックカーに乗りたいなら、MT免許を取っておいた方が良いでしょう。
ポイント2:将来どんな仕事をしたいかをイメージする
仕事として、製造や建築、土木、運送、バスやタクシーの運転手などの職業に就きたい場合は、MT免許があったほうが就職や業務に有利になる場合があります。
トラックなどの大型車や中型車の免許が必要な現場の一部はAT車の割合が多くなりつつあるものの、まだまだMT車も根強い人気があるからです。
特に、地方で農業・漁業・林業などに従事する場合は軽トラックなどがMT車の場合が多いため、MT免許を取得しておくのが安心です。
後にAT限定免許から、MT免許への切り替えという道も可能!
最初はAT限定免許を取っておいて、後から必要に応じてMT免許に切り替えることも可能です。
これを「AT限定解除」といいます。
AT限定解除には、教習所に通って、技能教習を4時間受け、技能試験に合格する方法と、運転免許試験場で技能審査を受けて合格する方法(一発試験)があります。
一発試験は、時間とお金は節約できますが、難易度が高いため、教習所で受けた方が無難です。
AT限定免許を取得したらこの先ずっとMT車を運転できないということはありません。
将来性も考えてAT限定免許・MT免許どちらかを選ぼう!
AT限定免許とMT免許の違い、それぞれのメリット・デメリット、おすすめの方、AT限定解除について解説してきました。
どちらにするか迷っている方は、現在のことだけではなく、将来の仕事や家族のことまで考えて、選択すると良いでしょう。